東京地方裁判所 平成6年(特わ)719号 判決 1994年11月08日
本店所在地
東京都江東区東陽三丁目二七番二五-二〇一号
株式会社荘司組
(右代表者代表取締役 荘司虎秋)
本籍
三重県南牟婁郡紀宝町神内一一五六番地の一
住居
東京都世田谷区弦巻三丁目七番一七号 アーケディア三階
会社役員
荘司虎秋
昭和一三年一〇月一〇日
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官加藤昭、弁護人福島啓充各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社荘司組を罰金四〇〇〇万円に、被告人荘司虎秋を懲役二年に処する。
被告人荘司虎秋に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社荘司組(以下「被告会社」という)は、東京都江東区東陽三丁目二七番二五-二〇一号に本店を置き、建築工事請負等を目的とする資本金二五〇〇万円の株式会社であり、被告人荘司虎秋(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注加工費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上
第一 昭和六三年九月一日から平成元年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億五五〇〇万八五一六円(別紙1-1修正損益計算書及び1-2修正製造原価報告書参照)、課税土地譲渡利益金額が六七万七一三一円であったにもかかわらず、平成元年一〇月三一日、東京都江東区猿江二丁目一六番一二号所在の所轄江東西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二〇八六万〇二二九円、課税土地譲渡利益金額が零で、これに対する法人税額が七六三万三一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六四一七万八三〇〇円と右申告税額との差額五六五四万五二〇〇円(別紙2ほ脱税額計算書参照)を免れ
第二 平成元年九月一日から平成二年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億〇六九九万四八九六円(別紙3-1修正損益計算書及び3-2修正製造原価報告書参照)であったにもかかわらず、平成二年一〇月三一日、前記江東西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四五四三万八〇六二円で、これに対する法人税額が、一六四九万九〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額八一一〇万七七〇〇円と右申告税額との差額六四六〇万八七〇〇円(別紙4ほ脱税額計算書参照)を免れ
第三 平成二年九月一日から平成三年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億四五五〇万九七三九円(別紙5-1修正損益計算書及び5-2修正製造原価報告書参照)であったにもかかわらず、平成三年一〇月三一日、前記江東西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九一七六万三七七四円で、これに対する法人税額が三二三八万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億二七五四万〇四〇〇円と右申告税額との差額九五一五万四八〇〇円(別紙6ほ脱税額計算書参照)を免れたものである。
(証拠の標目)
括弧内の番号は、証拠等関係カード(検察官請求分)の証拠番号を示す。
判示事実全部について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書七通
一 行方則恵の検察官に対する供述調書八通
一 大蔵事務官作成の給料手当調査書(二通)、外注加工費調査書、現場経費調査書、役員賞与調査書、交際接待費調査書、雑費調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、交際費限度超過額調査書、役員賞与損金不算入額調査書、道府県民税利子割調査書及び領置てん末書
一 検察事務官作成の捜査報告書(甲29)
一 登記官作成の履歴事項全部証明書
判示第一及び第三の各事実について
一 大蔵事務官作成の完成工事高調査書
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の賄費調査書、退職金調査書、固定資産売却益調査書及び土地譲渡利益金額調査書
一 検察事務官作成の捜査報告書(甲14、20)
一 押収してある法人税確定申告書一袋(平成六年押第一二四三号の1)
判示第二及び第三の各事実について
一 大蔵事務官作成の事業税認定損調査書
判示第二の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(同号の2)
判示第三の事実について
一 押収してある法人税確定申告書一袋(同号の3)
(法令の適用)
一 罰条
1 被告会社について
判示各事実につき、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項(判示第一及び第二の各事実の罰金刑の寡額については、いずれも刑法六条、一〇条により平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項による)、二項(情状による)
2 被告人について
判示各所為につき、いずれも法人税法一五九条一項(判示第一及び第二の各所為の罰金刑の寡額については、前同)
二 刑種の選択
被告人について いずれも懲役刑
三 併合罪の処理
1 被告会社について
刑法四五条前段、四八条二項(各罪の罰金額を合算)
2 被告人について
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)
四 刑の執行猶予
被告人について 刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(求刑 被告会社・罰金五〇〇〇万円、被告人・懲役二年)
(裁判官 中里智美)
別紙1-1
修正損益計算書
<省略>
別紙1-2
修正製造原価報告書
<省略>
別紙2
ほ脱税額計算書
<省略>
別紙3-1
修正損益計算書
<省略>
別紙3-2
修正製造原価報告書
<省略>
別紙4
ほ脱税額計算書
<省略>
別紙5-1
修正損益計算書
<省略>
別紙5-2
修正製造原価報告書
<省略>
別紙6
ほ脱税額計算書
<省略>